2010年12月26日
栗東市長 野村昌弘 様
教育長 森本 明 様
日本共産党栗東市委員会
委員長 國松清太郎
日本共産党栗東市会議員団
太田浩美
大西時子
2012年度 栗東市予算編成にあたっての要求書
前略、平素は市民福祉の向上と安心安全のまちづくりにご尽力いただき敬意を表します。
3月11日に発生した東日本大震災は東北地方を中心に大きな被害をもたらしました。その被害をさらに深刻化しているのが、福島原発の爆発事故による放射能漏れです。放射能汚染によって、住居や生活、仕事を奪われるなど、復興を阻む大きな要因となっています。この事故により、原子力発電のもつ危険性が明らかになり、全国各地で原子力から太陽光や水力などの自然エネルギーを利用した政策への転換を求める声が高まっています。
そういう中で、野田新内閣が発足し、野田首相は国民の強い反対の中TPP(環太平洋経済連携協定)への参加を表明しました。TPPに参加をすれば、原則関税および非関税障壁が撤廃されることになり、国内経済や農業、医療、建設などの21分野に深刻な影響が出ることが予想され、国民は不安を抱えています。また、沖縄県の普天間基地移設においてもアメリカ言いなりに辺野古への移設を推し進めようとしています。さらに、「社会保障・税の一体改革」や「復興財源」の名による消費税の10%の増税を推進しようとしており、2年前の総選挙で掲げた「国民の生活第一」のスローガンやマニュフェストのほとんどが反古になっています。
市政運営においても、市長の選挙公約が実現に向かわなければ、厳しい審判が下されると言わなければなりません。長引く不況や震災の影響などで、地方自治体の財政状況は極めて厳しい状況です。栗東市のH22年度決算における実質公債費比率は19.6%となり『起債許可団体』に転落しました。財政力指数は0.99と恵まれていながら、地方財政健全化法による将来負担比率321.6%と黄色信号が懸念される状況です。市は、昨年度比で個人市民税8.5%(3億4000万円)減、法人市民税1.6%(2000万円)減、たばこ税50.8%(7億6000万円)減、合計で約11億円もの減収になったことが財政悪化の大きな要因であるとして、財政健全化を図るため『新・集中改革プラン』を策定されました。
しかし、このプランには、財政悪化の大きな要因であるたばこ業者への貸付金9億円が未だに回収できていないこと、企業への奨励措置として5億円(5年間)を交付していること、『後継プラン』に68億円もの税金を投入しようとしていることなど、市民に犠牲を強いる一方で企業等への優遇措置について、改革のメスは入れられていません。
土地開発公社(以下、公社)の172億円にものぼる借金残高のために毎年6億円を補填していることや、年度越えのために市が短期借り入れをして公社に貸し付けることで急場をしのぐ状況の解決策として、『第3セクター等改革推進債(以下、3セク債)』の活用が示されました。この改革の本質は、これまでの市の無謀な開発によるツケや利権の後始末を、全く責任のない市民に肩代わりさせようとするものです。
こうした公社の巨額の借金残高やたばこ税収の落ち込み、貸付金未回収問題などは、これまでの開発優先・企業優遇型の市政運営によるものばかりで、こういう市政のあり方が財政悪化を招いていることは明らかです。市はこれまで福祉水準が高かったことも、財政悪化の要因とされていますが、そうであるなら財政再構築プログラム(以下、財プロ)によって、大幅に福祉施策の削減が行われたことで、一定の財政再建は図れたはずです。
ところが、財プロ後の財政は健全化どころか、さらに悪化し『起債許可団体』に転落しました。福祉水準を落とすことで財政健全化は図れないことがはっきりしたのではないでしょうか。
地方自治法第1条2項は「地方自治体の本来の役割は住民福祉の増進」と定めています。開発優先・企業優遇型の市政運営を、市民の暮らし・福祉を守ることを最優先に転換し、財政の健全化を図るよう求めます。
H24年度における予算編成に対し、下記の事項を要求いたします。2012年1月31日までに文書での回答をお願いいたします。
|
1、財政再建のために
1)リチウムエナジージャパン鰍フ企業誘致に、奨励金5億円・固定資産税1/2交付の奨励措置は、危機的な市の財政をさらに圧迫することから、やめられるか、財政が好転するまでの間凍結・延期されるよう求めます。
(2)土地開発公社の巨額の借金について、『第3セクター等改革推進債(以下、3セク債)』を活用し抜本的改革を図ることに対し、できる限りの債務圧縮を図り市民負担の軽減に努められたい。『3セク債』活用による市財政への影響、返済計画等を明らかにし、財政健全化の見通しを示されたい。
(3)たばこ業者への貸付金は期日一括弁済でありながら、期日までに一括弁済されたことがありません。現在提訴中の企業からはもちろん、H24年度返済予定の貸付金(5億円)も必ず期日内に回収されたい。
|
|
2、医療・介護・障害者(児)福祉の充実を
(1) 社会保障制度としての国民健康保険の運営に万全を期されたい
@国保税の4年連続引き上げで、県内で一番高い税額になりました。所得の低い世帯が多数を占める国民健康保険加入者にとって、大変重い負担となり、「高すぎて払いたくても払えない」「保険税を払えば、医者にかかることが出来ない」事態が発生しています。受診抑制は、重症化・医療費の増大につながります。払える税額に引き下げを求めます。
A本市の今年度当初の資格証明書交付数は183で、かなり多い数となっています
保険証の取り上げである資格証明書の交付をやめ、納税・生活相談を充実し、全ての加入者に保険証を発行されたい。
あわせて、高校生以下の無保険が発生することのないよう取り組まれたい。
B所得によって医療を受ける権利を制限されることのないよう、国民健康保険法第44条に明記されている窓口減免制度(栗東市国民健康保険に係る一時負担金の徴収猶予及び免除に関する要綱)を積極的に活用されたい。
(2)後期高齢者医療制度について
@高齢者を年齢で差別する後期高齢者医療制度をすみやかに廃止されるよう、国に働きかけられたい。
A高齢者の受診抑制はただちに命に関わるため、資格証明書や短期保険証の交付は行なわないこと。
(3) 介護保険や老人福祉に関して
@介護保険制度発足時の保険料は月額2700円でしたが、H23年度は4326円と1.6倍に上がっており、「もう負担の限界」との声が寄せられています。H24年度の保険料改定においては、基金の活用や一般会計からの繰り入れ等により、保険料を据え置かれるよう求めます。
A介護保険料を抑えるためには、国庫負担23%を大幅に引き上げることが必要不可欠です。国に国庫負担の増額を求められたい。
B6月に成立した介護保険改定法によると、要支援1・2への介護サービスを「介護予防・地域支援総合事業(総合事業)」に置き換えることができるようになり、介護サービスの後退が懸念されています。これまで通りの介護が受けられるよう市として対応されたい。
C市内の施設入所への待機者を解消するための方策を講じられたい。
在宅介護を支えるショートスティやデイサービスなどの充実を図られたい。
D高齢者への路線バス等回数券補助制度を実施されたい。高齢者の外出や健康増進だけでなく、くりちゃんバスの活性化、公共交通や公共施設利用の促進など総合的な効果が期待されます。
(4)障がい者(児)の権利と暮らしを守るために
@地域の学校でも特別支援学級で学ぶ子や養護学校に通う児童生徒は大幅に増え、毎年養護学校高等部卒業生の受け入れ先が深刻な課題となっています。通所施設の充実に努められたい。
A2013年8月までに施行される(仮称)障害者総合福祉法において、障害者自立支援法による応益負担・障害程度区分・作業所への補助金の日額制を廃止し、障害者があたり前に生活できるための予算が確保されるよう国に求められたい。
B福祉施設の安定的な仕事確保のため、関連事業の委託を増やすよう努められたい。
C障害者が自立した生活を営むために、移動支援やガソリン・タクシーチケットなどの施策の充実を図られたい。同時に、グループホーム・ケアホームの充実、施設整備促進に積極的な支援を求めます。
D精神障がい者への運賃割引制度を身体・知的と同様に実施されたい。あわせて雇用の促進のための手立てを講じられたい。
|
|
3、子育て支援の充実を
(1)就学前の子どもの医療費無料化を
就学前の子どもの医療費で自己負担金があるのは本市だけです。県内他市並みに、就学前の医療費は無料とされるよう求めます。
子どもの医療費無料化が国の施策として実施されるよう、国に要請されたい。
(2)子宮頸がん予防ワクチン・ヒブワクチン・小児肺炎球菌ワクチンへの国の補助金交付について、H24年度の補助金交付は確定したように聞き及んでいますが、その後の対応は明らかになっていません。
H25年度以降における補助金の継続と定期接種化を国に求められたい。
(3)妊婦検診への国の補助金交付について、H24年度の補助金交付は確定したと聞き及んでいますが、H25年度以降の対応は明らかになっていません。(2)と同様に、H25年度以降も妊婦検診への補助金交付を恒久的に継続されるよう、国に求められたい。
子宮頸がん予防等3種のワクチンと妊婦健診は、国の補助金の有無に関わらず、公費負担を継続されたい。
妊婦検診への公費負担を継続するよう、国に求められたい。
(4)待機児童の解消と公的保育の充実を
@国の「子ども・子育て新システム」は、直接契約・利用者補助。保育料の応益負担などを中心とした制度であり、自治体の保育責任を大きく後退させるものです。
保育を必要とする子どもが保育を受けられない危険性が指摘されています。子どもの豊かな育ちや保育の充実につながらない「子ども・子育て新システム」には反対を表明されたい。
A住民税への年少扶養控除の廃止に伴う増収に関して、私立保育園への「保育所運営費」を廃止し全額地方負担にして、その増収分を充てる案が浮上しています。
しかし、補助金を廃止すれば保育サービスに地域格差が生じる恐れがあり、廃止すべきではありません。保育所運営費の継続と国の保育予算を増やし公的保育の充実が図られるよう国に要請されたい。
B待機児童の解消と子どもの豊かな育ちを保障するために、正保育士を増員されたい。あわせて臨時保育士を確保すること。
(5)学童保育所の充実を @児童数の増加により、学童保育所の整備・拡充が急務となっており、必要に応じた増設や新設を計画的に進められたい。保育料の引き下げと収入に応じた減額免除制度の充実を行なうこと。
A市の責任で、小学1年生〜6年生の保育を保障すること。
B学童保育所指導員が安定的な身分で働き続けられるよう改善されたい。指導員の定期的な研修を行ない、資質向上に努められたい。
A学童保育所指導員が安定的な身分で、安心して働き続けられるよう改善に向け検討されたい。指導員の定期的な研修を行ない、資質向上に努めること
(6)ひとり親家庭への、生活支援、相談体制、経済的支援を充実されたい。
(7)児童虐待の早期発見・早期対応のため、学校や保健センター、県子ども家庭ンター、医療機関などの関係機関との連携を強化し、相談員の増員・有資格者の雇用など家庭児童相談室の支援体制を充実されたい。
|
|
4、教育環境の充実を
(1)子どもを大切にする憲法をいかした教育の推進を @一人ひとりの人権と、思想・信条・良心の自由を重視した教育が重要です。教職員や児童生徒の内心の自由を踏みにじり、教育現場を国家統制の道具とする「日の丸・君が代」の押し付けは行なわないこと。
A都道府県ごとの平均点が公表される全国一斉学力テストは、競争の激化や学校の序列化が指摘されています。学校教育の充実や学力向上への効果を検証されるとともに、全国一斉学力テストへの不参加を求めます。
B国においてH23年度から8年かけて小中学校全クラスで30〜35人学級が実施されます。県に対し、国の計画の前倒しで少人数学級制を早期実現されるよう要請されたい。
C就学援助への国庫負担の充実を国に要請するとともに、市としても充実に努められたい。
D義務教育は無償の原点に立ち、修学旅行や校外学習等への保護者負担を軽減されたい。
(2)教育環境の整備を
@先延ばしになっている栗東西中学校区の生徒増対策の方針を早期に示されたい。栗東西中学校区だけでなく、栗東中学校区においても生徒数増が予想されます。市内全域を視野に入れた第4中学校の建設を早期に検討し、西中学校のマンモス化を解消されたい。
A暑さ対策として、保育園・幼稚園・幼児園・小中学校施設への空調設備設置基本計画を早期に策定し、エアコンを設置されたい。
B保育園・幼稚園・幼児園・小中学校における避難訓練、防災教育の充実を図られたい。
C老朽化が激しい学校給食センターは、新設を視野に入れ、小学校・幼稚園・保育園の給食の充実を図られたい。義務教育である中学校の給食を実施されたい。
D学校図書や図書館の蔵書を増やし、学校と市立図書館との連携を強化し、貸し出しや本に親しむ環境を充実されたい。
(3)発達支援室と特別支援教育充実のために @発達支援室では、本人や保護者・関係者の悩みに応えられるよう、関係機関との連携を強化し、就労期までの支援体制を充実されたい。そのためにも専門的知識を持ち、ライフサイクルを見通せる職員を配置されたい。
A年々通級児が増える「たんぽぽ教室」や「ことばの教室」においては、待機児童を出さないよう指導員を確保し、支援体制を充実されたい。
B小中学校において、増加する特別支援教育の必要な児童生徒への支援を充実されたい。軽度発達障害児とともにどの子にもきめこまやかな教育ができるよう授業改善を行ないながら、必要に応じて教員・支援員を増員し、特別支援教育の充実を図られたい。
C本市の児童生徒が通う野洲養護学校のマンモス化解消を県教育委員会に要請されたい。
(4)市民文化の向上と芸術活動発展への支援を @市立図書館(本館、西図書館)の蔵書やCDなどの資料を充実し、移動図書館みどり号の学校巡回を再開されたい。
A老朽化が進む歴史民俗博物館の修繕費や維持管理費を確保されたい。
B芸術文化会館『さきら』の利用に関して、4月から新たな指定管理者によって運営されていますが、「使いにくくなった」「公共施設とは思えない運営である」などの苦情が寄せられています。市として、市民サービスの低下になっていないかどうか検証し、利用者の声をよく聞いた上で、指定管理者に改善を申し入れられたい。
|
|
5、地域経済活性化のために
(1)中小企業の振興を @地元中小業者の受注機会拡大のために「小規模工事契約希望者登録制度」を実施されたい。
A地域経済の活性化・市内中小業者の仕事確保や雇用創出に大きな効果が認められる「住宅リフォーム補助制度」を実施されたい。
B小口簡易融資制度の積極的な取り組みと手続きの簡素化をはかられたい。
(2)農業の振興と安心安全な食料提供のために @TPPへの参加に反対するよう国に要請されたい。
A残留農薬や遺伝子組み換え、アメリカ産牛肉の輸入などを行なわず、消費者に安心安全な食を供給できるよう、国に要請されたい。
B農業で生活ができるよう生産者米価を60キログラム当たり18,000円以上の価格保障と所得補償の実現を、国に求められたい。麦・大豆・野菜等への価格保障の充実を図られたい。
C保育園や学校給食の食材に、地元農産物の利用促進を図られたい。
D強制減反をやめ、食料自給率の向上を国に求められたい。
(3)林業への支援充実と鳥獣害対策を強化を
@植栽した杉・桧・松などが、外国材の輸入によって採算が取れないため、枝打ちや間伐作業がおろそかになっています。林業労働者の雇用や森林管理のための作業道の整備が必要です。そのための補助金の充実を国に求められたい。
A猪・鹿など獣害が年々増加し、被害は深刻化しています。防護柵への補助拡大をはじめ、総合的な対策強化を、国・県に求められたい。
Bなら枯れの被害防止のための総合的な対策を講じられたい。
|
|
6、安心安全のまちづくりのために
(1)旧RD処分場問題の早期解決を @粘土層を破壊し直接地下水を汚染している原因物を早期に除去し、飲み水の安全対策を講じられたい。埋め立ての全容解明を行うとともに有害違法廃棄物は全て撤去し、将来的に禍根を残さないよう対策工事を進められたい。
AH19年夏以来開催されていない全市民を対象にした市民説明会を開催し、対策工事に関する意見を聞いた上で、県に市民の納得と合意が得られる対策工となるよう要請されたい。
(2)生活と暮らしに関わって @営利を伴わない市民活動グループへの地域コミセンや体育施設等の公共施設の利用料減免制度を実施されたい。
A同和対策事業に関わる「地域改善対策特別措置法」が失効して9年が経ちます。同和地域における固定資産税の減免や就修学奨励資金給付等の個人施策をただちに廃止されたい。
同和対策事業や同和教育は廃止を基本に、人権問題のひとつに位置づけ、一般施策の中で取り組まれたい。
B地価下落により、固定資産税を引き下げられたい。都市計画税を廃止されたい。
C水道・下水道料金の引き上げは行わないこと。
D税金その他の分納期間中は、延滞税の免除措置を講じられたい。
(3)防災防犯に関して @福井原発事故を想定した放射能汚染に関わる防災計画を整備されたい。放射線量計やヨウ素材、防護服など必要な備品も併せて整備されたい。
A地域調査を行い、消防車や救急車が進入できない道路の改善を図られたい。住民との協働で緊急避難体制を早期に確立されたい。
B30年以内に琵琶湖西岸沖断層帯の地震予測や被害が予想されており、地域防災機能の強化を進められたい。河川や道路、堤防、橋梁の改修を実施されたい。
C地震などの大規模災害による住宅建て替え・補修のための基金を創設し、積み立てられたい。
D高層マンションの増加に伴い、マンションの防犯・防災体制を強化されたい。
(4)道路・河川等の整備に関して @金勝川、葉山川の平地化を推進し、早期に水害対策と交通渋滞の緩和を図られたい。
A集中豪雨によって、中ノ井川沿いの蜂屋地域が水害に合っているため、中ノ井川ショートカット事業を早期に完了するよう県に要請されたい。
B中山道(大津能登川長浜線)の大宝神社公園付近に歩道を整備されたい。
C開発は住民合意を基本とし、調整区域の無計画な開発は行わないこと。住宅開発を行う場合は、生活道路を整備すること。
|
|
7、平和と民主主義をまもり
市民本位の市政を築くために
@憲法9条は、世界の宝であり、世界への日本の公約です。平和憲法の改悪に反対し、平和都市宣言の市として、平和事業を積極的に取り組まれたい。
A自衛隊とアメリカ軍の日米合同演習に反対し、饗庭野をアメリカ軍に使わせないよう、国と県に要請されたい。
B憲法25条の精神を市政に生かし、市民の福祉と暮らしまもることを市政の中心にすえられたい。
|
|
|